□ ウドンコ病 
●症状 若い葉や茎、花に、白いウドン粉を薄くまぶしたような白いカビが一面にはえます。
このため、葉や枝葉が萎縮したり、曲がったりする奇形が生じます。
その結果、生育はいちじるしく阻害され、ひどい場合は、枯れてしまいます。
この白いウドン粉状のものは、葉の裏側に生じるだけでなく、表面にも発生しますし、裏表両面に発生する場合もあります。
病気が終息するころになると、
この白い部分に今度は黒い小さなツブツブが形成されてきます。(子のう殻と言います)
百日紅のうどん粉病
●発生の仕方   ウドンコ病の原因である病原菌は風によって運ばれてきます。
湿度は80%ぐらいを好み 霧雨や霧の時に空気中の伝播が活発に行われるので
注意が必要です。 しかしながら 激しい雨の場合は減少します。
●防除 この病原菌は、雨天が続く時より晴天が続く時の方が、多く飛びかいます。
ウドンコ病は、枝や葉が繁りすぎた結果、風通しや日当たりが悪い部分に発生しますので、予防としては
まず、風通しや日照が十分行き渡るように注意します。この病原菌は越冬するので
冬、1月から2月に石灰硫黄含剤を数回、葉や茎や花の発生しやすい部分に散布し、
発生してしまったあとには、ペンレートやサプロール水和剤などを月に2〜3回散布し防除します。












 □ 炭そ病 
●症状 若い枝葉や果樹の葉に発生する傾向にあります。
一般によく見かけるところでは カキの実の炭そ病があります。
柿の実が部分的に真っ黒になっていたらまず 炭素病です。
この病気にかかると、黒い大きな丸い病斑が発生し、
被害がひどいときには実が落ちます。


※人間が食べても別に害はありません。

柿の実の炭素病
●発生の仕方  病原菌は 病斑の組織内部で越冬します。これが翌年の伝染原因になりますので、
近くに 炭そ病にかかりやすい植物があると、風などによって伝染し被害を受ける
ことになります。発生したらすぐ薬剤を散布することが大切です。

アジサイ炭素病
●防除 病気になった葉や、被害を受け落ちた実は ていねいに集めて埋没処理
行なうか また葉の場合は焼却処分して 菌を絶滅させます。
これにより、翌年の被害をかなり低減することが出来ます。
梅雨期から秋にかけては マンネブダイセンベンレートなどの水和剤を定期的に全面に散布します。














 サビ病 
●症状 通常こ広葉樹や針葉樹の葉に発生しますが、
針葉樹の葉に発生するものを’サビ病’と呼びます。
この病気にかかると、橙黄色や黄褐色、赤褐色、黒褐色などさまざまな色調の粉状物か、または表面が平らなイボイボ状の塊が葉の表面に隆起したり、房状のものが葉の裏側に突出します。
ひどい症状の物には、早期に落葉してしまいます。

世界4代病に数えられる 五葉(ストローブ)マツ類発疹さび病もこれ。

梨の赤星病 羅病葉
●発生の仕方  このサビ病の病原菌は、ある植物ひとつに取りつき 生活するものと、近くにある 別のもうひとつの植物との間を
往復するものとがあります。後者において主として病気が発生するものを宿主 病原菌を圃菌はするが一般に発病せず
病原菌をばら撒くものを中間宿主といいます。 有名なところでは 梨の赤星病があり 梨の産地で
『カイズカを植えないようにしよう!』 という看板を見たことのある人も多いのでは?
参考までに:
赤星病(さび病に属する):梨、りんご⇔カイズカなどのビャクシン類   マツコブ病(さび病に属する):マツ⇔ブナ科
        ストローブマツ類発疹さび病:ストローブマツ ⇔ スグリ類

空気中の湿度が高いことを好みます。
●防除 通常4月から10月ぐらいに多く発生しますので 1月〜2月の間に石灰硫黄合剤を月に2〜3回 全体に散布します。
発生しやすい春になりましたら、予防策としてサプロール等を月に2回ほど散布します。
また 木全体の通風をよくしておくことも、予防には効果的です。
発生が見られましたら、早急にその部分の葉を切り取り 焼却処分します。
この作業だけで、かなり伝染源を断ち切ることができます。
もちろんですが 中間宿主となる植物を近くに植えない事も 予防のひとつです。






 □ スス病 
●症状 庭木や花木にとっては、
ウドンコ病と同じように宿命的に発生しやすい病気です。
風通しや日当たりが悪いときに、湿度が高くなると発生します。
このスス病は、主に葉に発生しますが、枝や果実に発生する場合もあります。
発症すると、葉の表面がススをまぶしたようになり、しだいに 広がりやがて 葉全面を
おおい ばい煙を披ったような状態や、
または薄い皮膜のようになります。
●発生の仕方  もっとも多いのは、カイガラムシアブラムシ類など、木の養分を吸う害虫(吸汁性害虫)の排泄物に病原菌
がついていてこれが原因で発生します。
また これら害虫とは関係なく植物から直接栄養を吸収する寄生性のスス病もあります。
カイガラムシなどの吸汁性の害虫が原因の場合は葉の表面のみに発生し、裏面はそれほどの被害はありません。
一方、寄生性のスス病の場合は、葉の両面はもとより、幼梢や果実にも発生します。
●防除 最大の発生原因が カイガラムシアブラムシコナジラミグンパイムシなどの
吸汁性の害虫ですので、薬剤散布で駆除します。
このズス病は、年間を通じて発生しますので、混みあった枝を剪定し 風通しと日当たりをよくすること
を心がけてください。        、
また1月〜2月頃には石灰硫黄合剤を散布し 害虫の生育期間(春以降)には月に
2〜3回、スミチオンオルトラン、マラソンなどの薬剤を散布します。
この薬剤散布を続けますと、次第に病気は消滅の方向にむかいます。
落葉性の木の葉は落葉後に焼却することも有効です。










 □ 褐斑病・黒星病・白星病などの斑点性病
●症状  葉や花、そして果実などに一定の形状をした病斑が出る病気 または斑紋がまんべんなく形成される病気を総称して斑点性病害と呼びます。
それぞれには外見上の特徴があり、それぞれの呼称があります。
斑点は、最初は黄色または淡い褐色をしていて形も小型ですが、
次第に灰褐色から黒褐色になってきます。
この斑紋は、円形や角状、輸紋状などさまざまですが、病気の進展につれて病斑の数が増加したり、あるいは拡大してきます。
 また針葉樹の場合は、健康な部分と病気の部
分の見極めがむずかしく、気がつかない事もあります。

レッドロビンの’ごま斑点病’
●発生の仕方  萌芽時期から葉の最盛期まで、その植物の生育にあわせるかのように広がっていきます。
また、冬の到来とともに越冬もしますので 要注意!の病害です。
病原菌は、風のほかに雨や霧、露などでや伝染しますで やっかいです。
病原菌の繁殖と伝染は、湿度の高いときに多い傾向があります。
●防除 それぞれの斑点性病害は、感染力も強く越冬もしますので、発生を発見したら早めに患部を切りとり焼却処分にすることがたいせつです。
とくに冬期には、病気の部分は残らず切りとり、病葉や落葉とともに焼却しましょう。
この作業で、感染源をかなり縮小することができます。
薬剤は、ベンレートやジトップジンM、アタッキンなどを、葉の出る時期や梅雨時・秋雨の時期に
月に2〜3回の割合で病気が発生しやすい部分を中心に散布します。
また日常の手入れとして、風通しや日照にも気をつけることも重要です。









 □ 紫カビ病


●症状 当年葉に 夏から秋にかけて 発生する。
紫色っぽい カビが発生するので一目で 確認できます。
●発生の仕方 
うどん粉病と 同じと考えてもよく
シラカシ、アラカシなど ブナ科に発生が多く見られる。
秋〜冬にかけて 病斑部分が 特に目立つようになる。
●防除 うどん粉病とほとんど同じと考えてよい。
冬1月から2月に石灰硫黄含剤を数回、葉や茎や花の発生しやすい部分に散布します。
発生してしまったあとには、ペンレートやサプロール水和剤などの殺菌剤を月に2〜3回散布します。








 □ モチ病
●症状 病原菌によって起きる病気です。発芽したばかりの芽や葉が異常に肥大して、
その形が ちょうどお餅を焼いたときのように膨れてしまうことに この名前があります。
一度発生すると 防除が困難な病気なので よく観察しながら
葉や芽の防除が大切です。
●発生の仕方  この病原菌は、葉や花のほかに果実も侵します。
モチ病の病原菌は、その患部のなかで成長し、その刺激が葉などに異状な細胞増殖をおこさせます。
その結果がお餅のような奇形なのです。
この奇形した患部は、やがて表面から白い粉をふきますが、この白い粉が病原菌の胞子で風や雨などで飛散しますと、新しい被害が発生します。
モチ病は、初夏や初秋に発生・感染が多く見られますが、中でも5月から6月が要注意の時期です。これは新芽にしか寄生できないからです。
また、初夏には病患部が褐色に変色して枯れて死んだり、脱落しますが病原菌はしぶとく枝や梢の病患部の組織内に潜伏して残り、越冬します。
これが翌年また有力な感染源になります。
とくに春から初夏にかけて 雨が多い年には激しく 蔓延しますので、感染には十分な注意が必要です。
●防除 前年このモチ病が発生していた場合は、今年の発病も警戒する必要があります。
萌芽前にはまず 石灰硫黄合剤を、葉を中心に散布します。
これにより、越冬した病原菌の活動を抑制することができます。          .
また、新芽が出るころから初夏と初秋には、重点的に鋼製剤を1週間おきに2〜3回
葉を中心に散布します。 とまた、病気が発生した部分は、埋没処理か焼却処分にしてください。







 □ テングス病
●症状 新しい梢や葉に発生します。
枝の先端の一部が細かく枝わかれし、葉は激しい凹凸を生じて萎縮します。
葉の患部はモチ病のように白い粉状のものを噴出したりしますが、
のちにその葉は変色して枯死します。
この病気は 枝の一部に発生し、枝全体に被害が広がることはありません。
また、桜などに被害が出た場合はその部分は 花が咲きません。


発生箇所が天狗の巣に似ていると言われるところからこの名があるが
じゃ 
天狗の巣って誰が見たんや!?と声を大きくしていいたい。作者

ソメイヨシノの天狗巣病
●発生の仕方  病原菌が原因です。春になり暖かくなると病原菌の活動が活発になり、
白い粉状のものが飛び、蔓延します。この病原菌は、比較的低温を好み、気温が25℃以上になると潜伏しはじめます。
しかし、いったん発生すると患部に定着してしまいますので、
毎年発生を繰り返します。
●防除 早期発見がなにより大切です。 発見した場合はその部分を切りとります。
そして、3月上旬ごろに石灰硫黄合剤の10倍液を木全体に噴霧器などで散布します。
これにより、越冬菌の駆除ができます。